驍ノ、その左右廻転を恰好に記録するものがあって、またそれに、文字盤の方へ逆に及ぼす力さえあれば……。そうすれば、理論上鎖された閂が開くということになりましょう。勿論内部からでは、あの鉄函の鍵は問題ではないのですよ。で、その記録筒と云うのが、何あろう、あの廻転琴《オルゴール》なのでした」
 と法水は、糸を人形時計の方へ引いて行って、観音開きを開き、その音色を弾《ひ》く廻転筒を、報時装置に続いている引っ掛けから外《はず》した。そして、その円筒に無数と植えつけられている棘《とげ》の一つに、糸の一端を結び付けて、それをピインと張らせ、さてそうしてから検事に云った。
「支倉君、君は外から文字盤を廻して、この符表どおりに扉《ドア》を閉めてくれ給え」
 すると、検事の手によって文字盤が廻転してゆくにつれて、廻転琴《オルゴール》の筒が廻りはじめた。そして、右転から左転に移る所には、その切り返しが他の棘に引っ掛って、三回の操作が、そうして見事に記録されたのである。それが終ると、法水はその筒に、旧《もと》どおり報時装置の引っ掛けを連続させた。それが、ちょうど八時に二十秒ほど前であった。機械部に連なった廻転
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