セだと思うよ。何故なら、そのレヴェズの一語には、あの男の心深くに秘められていた一つの観念が、実に鮮かな分裂をして現われたからなんだ。いいかね支倉君、最初 KO と数型式《ナムバァ・フォムス》を泛《うか》べてから、レヴェズは三叉箭のことを Bohr《ボール》 と云い、心中|地精《コボルト》を意識しているのを明らかにした。また、それか、蕪菁《リューベ》という語《ことば》を使ったのだが、それには重大な意義が潜んでいた。と云うのは、地精《コボルト》に誘導されて、必ず聯想しなければならない、一つの秘密がレヴェズの脳裡にあったからだ。で、試しに一つ、三叉箭《ボール》と蕪菁《リューベ》とを合わせて見給え。すると、格子底机《ボールド・ルーベ》――。ああ、僕の頭は狂っているのだろうか。実は、その机と云うのが、伸子の室《へや》にあるのだがね」
 地精《コボルト》の札《ふだ》――今や事件の終局が、その一点にかけられている。もし、法水の推断が真実であるならば、あの溌溂《はつらつ》たる娘は、ファウスト博士に擬せられなければならない。それから、伸子の室に行くまでの廊下が、三人にとると、どんなに長いことだったろうか
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