セ。と云うのは、あの心理学者の名著――『|人間能力の考察《インクワイアリー・イントゥ・ヒューマン・ファカルティ》』の中に現われていることだが、想像力の優れた人物になると、語《ことば》や数字に共感現象が起って、それに関聯した図式を、具体的な明瞭な形で頭の中へ泛《うか》べる場合があるのだ。例えば数字を云う場合に、時計の盤面が現われることなど一例だが……いまレヴェズの談話の中に、それにもました、強烈な表現が現われたのだ。支倉君、あの男は伸子に愛を求めた結果について、こういうことを悲しげにいったのだよ。――天空の虹は抛物線《パラボリック》、露滴の虹は双曲線《ハイパーボリック》、しかしそれが楕円形《イリプティック》でない限り、伸子は自分の懐《ふところ》に飛び込んでは来ない――と。ところが、その間レヴェズの眼に、微かな運動が起って、彼が幾何学的な用語を口にするたびごと、なんとなく宙に図式を描いているような、動きが認められるのだった。そこで僕は、その黙劇めいた心理表出に、一つの息詰まるような徴候を発見したのだよ。何故なら拠物線《パラボリック》※[#「))」の上下を付けた形(fig1317_45.pn
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