sやがら》は葭《よし》――という鄙歌《ひなうた》を、たぶん貴方は御存じでしょうが」
「さよう、この事件でもそうです。蕪菁は犯罪現象、葭は動機なのです。レヴェズさん、その二つを兼ね具えたものと云えば、まず貴方以外にはないのですよ」とにわかに酷烈な調子となって、法水の全身が、メラメラ立ち上る焔のようなものに包まれてしまった。「勿論ダンネベルグ夫人は他界の人ですし、伸子もそれを口に出す道理はありません。しかし、事件の最初の夜、伸子が花瓶を壊した際に、たしか貴方はあの室《へや》にお出でになりましたね」
レヴェズは思わず愕然《がくっ》として、肱掛を握った片手が怪しくも慄《ふる》え出した。
「それでは、儂《わし》が伸子に愛を求めたのを発見されたために、持分を失うまいとして、グレーテさんを殺したのだ――と。莫迦《ばか》な、それは貴方《あんた》の自分勝手な好尚《このみ》だ。貴方は、歪んだ空想のために、常軌を逸しとるのです」
「ところがレヴェズさん、その解式と云うのは、貴方が再三|打衝《ぶつか》って御存じのはずですがね。|そこにあるは薔薇なりその辺りに鳥の声は絶えて響かず《ドッホ・ローゼン・ジンテス・
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