ッても明けなくても、結論はすでに明白です。要するに問題は、均分率の増加にあるのですからな」
 そこで、法水等は広間《サロン》を去ることにした。彼は博士に対して、色々迷惑を掛けたことをしきりに詫びてから室を出たが、それから階上を通りすがりに、なんと思ってか、彼一人伸子の室に入っていった。
 伸子の室は、幾分ポンパドゥール風に偏した趣味で、桃色《ピンク》の羽目《パネル》を金の葡萄蔦《ぶどうづた》模様で縁取っていて、それは明るい感じのする書斎|造《づくり》だった。そして、左側が細長く造られた書室に入る通路、右側の桔梗《ききょう》色した帷幕《とばり》の蔭が、寝室になっていた。伸子は法水を見ると、あたかも予期していたかのように、落着いて椅子を薦めた。
「もうそろそろ、お出でになる頃合だと思ってましたわ。きっと今度は、ダンネベルグ様のことをお訊きになりたいのでしょう」
「いやけっして、問題と云うのは、あの屍光にも創紋にもないのですよ。勿論、青酸《シヤン》には適確な中和剤がないのですから、貴女がダンネベルグ夫人と同じレモナーデを飲んだにしても、あながちそれには、例題とする価値はないでしょう」と法水は
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