l良しを云うのですか、それとも、女王《クイーン》エリザベスの権謀奸策を……あの三人に」
「それは、両様の意味でです」鎮子は冷然と答えた。「御承知とは存じますが、津多子様の御夫君押鐘博士は、御自身経営になる慈善病院のために、ほとんど私財を蕩尽《とうじん》してしまいました。それなので、今後の維持のためには、どうあってもあの隻眼《せきがん》を押してまで、津多子様は再び脚光を浴びなければならなくなったのです。恐らくあの方のうける喝采が、医薬に希望を持てない何万という人達を霑《うる》おすことでしょう。まったく、人を見ること柔和なるものは恵まれるでしょうが、そうかと云って、されど門に立てる者は人を妨ぐ[#「されど門に立てる者は人を妨ぐ」に傍点]――ですわ。法水さん、貴方はこのソロモンの意味がお判りになりまして。あの門――つまりこの事件に凄惨な光を注ぎ入れている、あの鍵孔のある門の事ですわ。そこに、黒死館永生の秘鑰《ひやく》があるのです」
「それを、もう少し具体的に仰言《おっしゃ》って頂けませんか」
「それでは、シュルツ([#ここから割り注]フリッツ・シュルツ――。前世紀独逸(ドイツ)の心理学者[#
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