サれを手短に語り終えると開き直って、厳しく伸子の開口を迫るのだった。
「いいですかな。僕等が訊きたいのは、僅《た》ったそれだけです。どんなに貴女を、犯人に決定したくなくも、つまるところは、結論が逆転しない限りやむを得ません。つまり、要点はその二つだけで、それ以外の多くを訊ねる必要はないのです。これこそ、貴女にとれば一生浮沈の瀬戸際でしょう。重大な警告と云う意味を忘れんように……」と沈痛な顔で、まず熊城が急迫気味に駄目を押すと、その後を引き取って、検事が諭すような声で云った。
「勿論ああいう場合には、どんなに先天的な虚妄者《うそつき》でも、除外する訳にはゆきません。それでさえ、精神的には完全な健康になってしまうのが、つまりあの瞬間にあるのですからね。サア、そのX《エッキス》の実数を云って下さい。降矢木旗太郎……たしかに。いや、いったいそれは誰のことなんです?」
「降矢木……サア」と幽かに呟《つぶや》いただけで、伸子の顔がみるみる蒼白になっていった。それは、魂の底で相打っているものでもあるかのような、見るも無残な苦闘だった。しかし、五、六度|生唾《なまつば》を嚥《の》み下しているうちに、サ
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