驍ニ、像の頭上からそれぞれの側に、四条の水が高く放出される仕掛になっていた。そして、その放水が、約十秒ほどの間継続することも判明した。ところが、その踏み石の上には、霜溶けの泥が明瞭な靴跡となって残っていて、それによるとレヴェズ氏は、その一つ一つを複雑な経路で辿《たど》って行って、しかもそれぞれに、ただの一度しか踏んでいないことが明らかになった。すなわち、最初は本館の方から歩んで来て、一番正面の一つを踏み、それから、次にその向う側を、そして三度目には右側のを、最後には、左側の一つを踏んで終っている。しかし、その複雑きわまる行動の意味が、いったい那辺にあるのか、さすがに法水でさえ、皆目その時は見当がつかなかった。
それから、本館に戻ると、一昨日訊問室に当てた例の開けずの間、すなわちダンネベルグ夫人が死体となっていた室《へや》で、まず最初の喚問者として伸子を喚《よ》ぶことになった。そして、彼女が来るまでの間に、どこからとなく法水の神経に、後にはそれと頷《うなず》かせた、異様な予感が触れてきたと云うのは、数十年|以来《このかた》この室に君臨していて、幾度か鎖され開かれ、また、何度か流血の惨事
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