ノお出かけになりましたか」
「ハイ、私は自分の室《へや》で、ジョオコンダ([#ここから割り注]聖バーナード犬の名[#ここで割り注終わり])の掃除をいたしておりました」とセレナ夫人は躊《ひる》まずに答えてから、レヴェズの方を向いて「それに、確かオットカールさん([#ここから割り注]レヴェズの名[#ここで割り注終わり])は、驚駭噴泉《ウォーター・サープライズ》の側にいらっしゃいましたわね」
その時レヴェズ氏の顔には、ただならぬ狼狽《ろうばい》の影が差したけれども、「いやガリバルダさん、鏃《やじり》と矢筈《やはず》を反対にしたら、たぶん、弩の絃《いと》が切れてしまうでしょうからな」といかにも上ずった、不自然な笑声で紛らせてしまったのである。そうして二人は、なおも煩々《くどくど》しく、津多子の行動について苛酷な批判を述べてから、室を出て行った。二人の姿が扉《ドア》の向うに消えると、それと入れ違いに、旗太郎以下四人の不在証明《アリバイ》が私服によってもたらされた。それによると、旗太郎と久我鎮子は図書室に、すでに恢復していた押鐘津多子は、当時階下の広間《サロン》にいたことが証明されたけれど、不思
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