t stairs《ステイアス》([#ここから割り注]大階段の裏[#ここで割り注終わり])の一語が、一脈の希望を持たせるだろう。けれども、僕の予感が狂わない限りは、仮令《たとえ》現象的に解決してもだよ。今日の出来事を機縁として、この事件の目隠しが実に厚くなるだろうと思われるのだ。あの水煙――それを神秘的に云えば、水精《ジルフェ》が火精《ザラマンダー》に代り、しかも射損じたのだ――と」
「また、妖精山《ハルツ》風景かい。だがいったい、そんなことを本気で云うのかね」検事は莨《たばこ》の端をグイと噛んで、非難の矢を放った。法水は指先を神経的に動かして、窓框《まどがまち》を叩きながら、
「そうだとも。あの愛すべき天邪鬼《あまのじゃく》には、しだいに黙示図の啓示を無視してゆく傾向がある。つまり、黒死館殺人事件根元の教本《テキスト》さえ、玩弄してるんだぜ。ガリバルダは逆さになって殺さるべし――それは伸子の失神姿体に現われている。それから、眼を覆われて殺さるべきはずのクリヴォフが危なく宙に浮んで[#「宙に浮んで」に傍点]殺されるところだったのだ。その時、宙高くに上った驚駭噴泉《ウォーター・サープライズ
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