A風精《ジルフス》に関する問いを発したのだ。では何故かと云うに、僕がそれ以前に図書室を調査した時、ポープ、ファルケ、レナウなどの詩集が、最近に繙《ひもと》かれていたのを知ったからだよ。つまり、ポープの『|髪盗み《レイプ・オヴ・ゼ・ロック》』の中には、風精《ジルフス》について、いかにも虚妄《うそ》を構成するに適《ふさ》わしい記述があるからなんだ。勿論、僕が求めているのは、犯人の天稟学《ベガーブングスレーレ》だったのさ。あの中にある風精《ジルフェ》の印象を一つに集めて、それに観照の姿を浮ばしめる――その狂言の世界だ。けっして、あの狂《きちがい》詩人が、単に一個の想い出の画を描くだけで、満足するものではないと思ったからだ。そこで、僕は固唾《かたず》を嚥《の》んだ。そして、あの陰険酷烈をきわめたクリヴォフの陳述の中から、とうとう犯人の姿を掴まえることが出来たのだよ」と法水の顔には、さも当時の昂奮を回想するような疲労の色が浮んだ。けれども、彼は言《ことば》を次いで、いよいよクリヴォフ夫人を犯人に指摘しようとする、「|髪盗み《レイプ・オブ・ゼ・ロック》」の一文に解析の刀《メス》を下した。
「ところ
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