、。壺兜や手砲《ハンド・キャノン》で事件の解決がつくと云うのだったら、まず、そういう史上空前の証明法を聴こうじゃないか」
「勿論刑法的価値としては、完全なものじゃないさ」と法水は烟《けむり》を靡《なび》かせて、静かに云った。「しかし、最も疑われてよい顔が、僕等を惑わしていた多くの疑問の中に散在しているんだ。つまり、その一つ一つから共通した因子《ファクター》が発見され、しかも、それ等をある一点に帰納し綜合し去ることが出来たとしたらどうだろう。またそうなったら君達は、強《あなが》ちそれを、偶然の所産だけとは考えないだろうね」と云って、卓子《テーブル》をガンと叩き、強調するものがあった。「ところで僕は、この事件を猶太的犯罪《ジュウイッシュ・クライム》だと断定するが、どうだ!」
「猶太《ジュウ》――ああ君は何を云うんだ?」熊城は眼をショボつかせて、からくも嗄《しゃが》れ声を絞り出した。恐らく彼は、雷鳴のような不協和の絃の唸《うな》りを聴く心持がしたことであろう。
「そうなんだ熊城君、君は猶太《ユダヤ》人が、ヘブライ文字の※[#アレフ、1−3−60]《アレフ》から※[#ヘブライ文字「YOD」(f
前へ 次へ
全700ページ中349ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
小栗 虫太郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング