「た、元素精霊《エレメンタリー・スピリット》には違いない。そして今までは、水精《ウンディヌス》と扉を開いた水、風神《ジルフス》と倍音演奏――と云っただけの、云わば要素的な符合しか判ってはいなかったのだ。けれども、いったんそれに性別転換の解釈を加えると、あのいかにも秘密教《エルメチスム》めいていたものが、たちどころに公式化されてしまうのだ。ねえ熊城君、水精《ウンディヌス》と男性に変えなければ、どうしてあの扉《ドア》を開くことが出来なかったのだろうか。そこに、犯罪方程式の一部が精密な形で透し見えていたのを、僕等は、今まで何故に看過していたのだろうか」
「なに犯罪方程式※[#感嘆符疑問符、1−8−78]」法水の意外な言《ことば》に、熊城は胸を灰だらけにして叫んだ。けれども、だいたいが真理などと云うものは、往々に、牽強附会この上なしの滑稽劇《バーレスク》にすぎない場合がある。しかも、きまっていつも、それは平凡な形で足下に落ちているものではないか。続いて、法水が曝露したその一側面と云うのが、いかに二人を唖然たらしめたことか……。
「ところで君は、スピルディング湖の水精《ウンディネ》を描いた、ベッ
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