_ンネベルグ夫人と易介《えきすけ》に続く、三回目の惨劇を予告しているのではないか。そうなると、熊城の作り上げた人間の塁壁が、第一どうなってしまうのであろう。ほとんど犯罪の続行を不可能に思わせるほどの完璧な砦《とりで》でさえも、犯人にとっては、わずか冷笑の塵にすぎないではないか。のみならず、そういう触れれば破滅を意味している、決定的な危険を冒してまでも敢行しようという、恐らく狂ったのでなければ意志に表わせぬような決慮を示しているのであるから、その不敵さに度胆を抜かれた形になってしまって、三人がしばらくの間声を奪われていたのも無理ではなかった。その日は何日目かの快晴だった。和《なご》やかな陽差が、壁面を飾っている「倫敦《ロンドン》大火之図」の下方――ちょうどブリクストン附近に落ちていて、それがしだいにテムズを越えて、一面に黒煙の漲《みなぎ》る、キングスクロスの方へ這い上って行こうとしている。しかしそれに引き換え室内の空気は、打てば金属《かね》のように響くかと思われるほどに緊張しきっていたが、法水《のりみず》は何か成算のあるらしい面持《おももち》で、ゆったりと眼を瞑《と》じ黙想に耽《ふけ》り
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