――最初に降矢木家の給仕長|川那部易介《かわなべえきすけ》の死を発見した、その前後の顛末《てんまつ》を概述しておこうと思う。すなわち、午後二時三十分|拱廊《そでろうか》の吊具足の中で、正式に甲冑を着した姿で窒息し、死後咽喉部に、二条の※[#「凵」のような形(fig1317_08.png)、235−2]形をした切創をうけ、絶命しているのを発見された。明白に死体の諸徴候は、死後二時間以内である事を証明しているが、その窒息方法は緩慢に加わっていったものらしく、経路も全然不明である。しかも同じ傭人の一人は、一時やや過ぎた頃に、被害者が高熱を発しているのを知り、同時に脈動のあった事も確かめたと云うのみならず、さらに、死体発見を去る僅々《きんきん》三十分以前の正二時には、被害者の呼吸を耳にしたと云う――実に奇怪きわまる事実を陳述したのである。よって、上述の事実に基づき、ここに私見を明らかにしたいと思う。ところで、最初に原因不明の窒息については、それを器械的胸腺死《メカニシェル・ティムストット》――と云うよりも、胸腺に或る器械的な圧迫を外部から加えたものだと主張する、すなわち川那部易介は、成年
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