]回を勤めることになるのであるが、その時はただ、法水が悠久|磅※[#「石+(蒲/寸)」、第3水準1−89−18]《ほうはく》たるものに打たれたのみで、まるで巨大な掌《てのひら》にグイと握り竦《すく》められたかのような、一種名状の出来ぬ圧迫感を覚えたのであった。そして、しばらくその篆刻《てんこく》文を瞶《みつ》めていたが、やがて、
「ああ、そうでしたね。確か上川島《サンシアンとう》([#ここから割り注]広東省珠江の河口附近[#ここで割り注終わり])で死んだシャヴィエル上人は、美しい屍蝋《しろう》になっていたのでした。なるほど、その腸丸と遺物筐《シリケきょう》とが、童子人形の右腕になっているのですか」と低く夢見るような声で呟いたが、突然調子を変えて、真斎に訊ねた。
「ところで田郷さん、見掛けたところ埃がありませんけど、この時計室はいつ頃掃除したのです?」
「ちょうど昨日でした。一週に一回することになっておりますので」
そうして、古代時計室を出ると、真斎は何より先に、彼を無惨な敗北に突き落したところの疑念を解かねばならなかった。法水は、真斎の問いに味のない微笑を泛《うか》べて、
「そうする
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