始めて、「ですが、ああきっと、ほどなくしてその男死にたり[#「ほどなくしてその男死にたり」に傍点]――でしょうよ。貴方がたは、易介と伸子さんの二つの事件で、既《とう》に無力を曝露《ばくろ》しているのですからね」
「なるほど」と簡単に頷《うなず》いたが、法水はいよいよ挑戦的にそして辛辣《しんらつ》になった。「しかし、誰にしろ、最後の時間がもう幾許《いくばく》か測ることは不可能でしょうからね。いや、かえって昨夜などは、|かしこ涼し気なる隠れ家に、不思議なるもの覗けるがごとくに見ゆ《シャイント・ドルト・イン・キューレンシャウエルン・アイン・ゼルトザメス・ツ・ラウエルン》――と思うのですが」
「では、その人物は何を見たのでしょうな。儂《わし》はとんとその詩句を知らんのですよ」レヴェズ氏が暗い怯々《おどおど》した調子で問い掛けると、法水は狡《ずる》そうに微笑《ほほえ》んで、
「ところがレヴェズさん、心も黒く夜も黒し、薬も利きて手も冴えたり――なんです。そして、その場所が、折もよし人も無ければ――でした」
と云い出したのは、一見見え透いた鬼面のようでもあり、また、故意に裏面に潜んでいる棘《いばら
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