かれなかったのであった。
「なるほど、君の実験が成功したぜ」と検事は眼を円くしながら、鍵の下りた扉を開いたが、法水のみは正面の壁に背を凭《もた》せたままで、暗然と宙を瞶《みつ》めている。が、やがて呟《つぶや》くような微かな声で云った。
「支倉君、拱廊《そでろうか》へ行かなけりゃならんよ。彼処《あそこ》の吊具足の中で、たしか易介が殺されているんだ」
二人は、それを聴いて思わず飛び上ってしまった。ああ、法水はいかにして、鐘鳴器《カリリヨン》の音から死体の所在を知ったのであろうか※[#感嘆符疑問符、1−8−78]
三、易介は挾まれて殺さるべし
ところが、法水《のりみず》はすぐ鼻先の拱廊《そでろうか》へは行かずに、円廊を迂回して、礼拝堂の円蓋《ドーム》に接している鐘楼階段の下に立った。そして、課員全部をその場所に召集して、まずそこを始めに、屋上から壁廓上の堡楼《ほろう》にまで見張りを立て、尖塔下の鐘楼を注視させた。こうしてちょうど二時三十分、鐘鳴器《カリリヨン》が鳴り終ってからわずかに五分の後には、蟻も洩らさぬ緊密な包囲形が作られたのであった。そのすべてが神速で集中的であり、も
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