《へのぼ》って行って、頭上はるか扇形《おうぎがた》に集束されている穹窿《きゅうりゅう》の辺にまで達していた。楽の音は柱から柱へと反射していって、異様な和声を湧き起し、今にも、列拱《アルカード》から金色《こんじき》燦然《さんぜん》たる聖服をつけた、司教助祭の一群が現われ出るような気がするのであった。が、法水にとってはこの空気が、問罪的な不気味なものとしか考えられなかった。
 聖壇の前には半円形の演奏台が設《しつら》えてあって、そこに、ドミニク僧団の黒と白の服装をした、四人の楽人が無我恍惚の境に入っていた。右端《うたん》の、不細工な巨石としか見えないチェリスト、オットカール・レヴェズは、そこに半月形の髯《ひげ》でも欲しそうなフックラ膨んだ頬をしていて、体躯《たいく》の割合には、小さな瓢箪《ひょうたん》形の頭が載っていた。彼はいかにも楽天家らしく、おまけに、チェロがギターほどにしか見えない。その次席が、ヴィオラ奏者のオリガ・クリヴォフ夫人であって、眉弓が高く眦《まなじり》が鋭く切れ、細い鉤形の鼻をしているところは、いかにも峻厳な相貌であった。聞くところによれば、彼女の技量はかの大独奏者、クル
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