聞えない音を聴いているし――、それから拱廊《そでろうか》では、ボードの法則が相変らず、海王星のみを証明出来ないのだがね」
 そういう驚くべき独断《ドグマ》を吐き捨てて、法水は検事が書き終った覚書を取り上げた。それには、私見を交えない事象の配列のみが、正確に記述されてあった。

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一、死体現象に関する疑問(略)
二、テレーズ人形が現場に残せる証跡について(略)
三、当日事件発生前の動静
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一、早朝押鐘津多子の離館。
二、午後七時より八時――。甲冑武者の位置が階段廊上に変り、和式具足の二つの兜が取り替えられている。
三、午後七時頃、故算哲の秘書紙谷伸子が、ダンネベルグ夫人と争論せしと云う。
四、午後九時――。神意審問会中にダンネベルグは卒倒し、その時刻と符合せし頃、易介はその隣室の張出縁に異様な人影を目撃せりと云う。
五、午後十一時――。伸子と旗太郎がダンネベルグを見舞う。その折、旗太郎は壁のテレーズの額を取り去り、伸子はレモナーデを毒味せり。なお、青酸を注入せる洋橙《オレンジ》を載せたものと推察さ
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