るとするのは、仮令《たとい》論理的であるにしても、すこぶる実在性に乏しく、結局彼の狂気的産物と考えるほかにない。
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九、ファウストの五芒星呪文[#「九、ファウストの五芒星呪文」は太字](略[#「略」は太字])
十、川那部易介事件[#「十、川那部易介事件」は太字]
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法水の死因|闡明《せんめい》は、同時に甲冑を着せしめたところに、犯人の所在を指摘している。それを時間的に追及すると、伸子にのみ不在証明《アリバイ》がない。しかも伸子は、その咽喉《のど》を抉《えぐ》った鎧通《よろいどお》しを握って失神し、なお、奇蹟としか考えられない倍音が、経文歌《モテット》の最後の一節において発せられている。それ以外に疑問の焦点とでも云いたいのは、はたして犯人が、易介を共犯者として殺害したか否かであって、勿論容易な推断を許さぬことは云うまでもないのである。結局、その曲折紛糾奇異を超絶した状況から推しても、しだいに、伸子の失神を犯人の曲芸的演技とする点に綜合されてゆくけれども、しかし、公平な論断を下すなれば、依然として紙谷伸子は、ただ一人の、そして、最も疑われてよい人物であることは勿論である。
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十一、押鐘津多子が古代時計室に幽閉されていた事[#「十一、押鐘津多子が古代時計室に幽閉されていた事」は太字]
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これこそ、まさしく驚愕《きょうがく》中の驚愕である。しかも、法水が死体として推測したものが、解し難い防温を施されて昏睡していた。勿論、彼女が何故に、自宅を離れて実家に起居していたか――という、その点を追及する必要は云うまでもないが、しかし、犯人が津多子を殺害しなかった点に、法水は危惧《きぐ》の念を抱いて陥穽《かんせい》を予期している。けれども、易介が神意審問会の最中隣室の張出縁で目撃した人影と云うのは、絶対に津多子ではない。何故なら、当夜八時二十分に、真斎が古代時計室の文字盤を廻して、鉄扉を鎖したからである。
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十二、当夜零時半クリヴォフ夫人の室に闖入したと云われる人物は[#「十二、当夜零時半クリヴォフ夫人の室に闖入したと云われる人物は」は太字]?
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ここに易介の目撃談――宵に張出縁へ出現して、あのいかにも妖怪めいた不可視的人物が、夜半クリヴォフ夫人の室《へ
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