めに斬り殺された。しかし浪士隊は解散しなかった。酒井藩では、それに新徴組と名をつけた。
ところが、この新徴組は腕っぷしの強いのをたよりに、江戸中を暴れまわって手がつけられない。酒井藩では処分に困り、とうとう新徴組に解散を命じ、それぞれ帰国しろと厳達したのであるが、多くは脱走して再び京都へ上《のぼ》った。そのうち鈴木栄之助だけは故郷の鶴岡へ帰ってきた。鶴岡市の郊外に、大宝寺村というのがある。栄之助は明治になってから、大宝寺村の戸長、次に村長となって一生を終わった。まことに柔和な人品の高い、釣りの名人であったと、いまでも村民は語り伝えているのである。[#地付き](一五・一一・七)
底本:「完本 たぬき汁」つり人ノベルズ、つり人社
1993(平成5)年2月10日第1刷発行
底本の親本:「随筆たぬき汁」白鴎社
1953(昭和28)年10月発行
入力:門田裕志
校正:仙酔ゑびす
2007年4月2日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボラ
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