は、要するに餌をくわえた魚に対して、巧みに鈎合わせをきかせるか、きかせないかの僅かの呼吸にあるのである。この呼吸は口では説明ができない。自ら、会得するよりいたし方がないと思う。
シャクリ釣りは、軽い錘を使う。一匁から、三匁くらいまでであって、五匁くらいを使う場合はまれだ。そして、瀬の流れの緩急にもよるが、十尋の深さのところでは道糸の長さが十三尋、十五尋のところで十八尋、二十尋のところで二十三尋といった工合になるのを普通とする。瀬が急であれば、五尋くらい馬鹿糸を出す場合もある。軽い錘をつけ、細くして長い道糸を使うほど成績があがるもので、それだけに魚の当たりが微妙になるのである。その細かいことは、各項について述べることにしたい。
次に舟に乗り込む人数のことであるが、東京湾内のように割合が小さい舟であっては客一人、船頭一人、助手一人といった数にしたいのである。釣友と一緒であって止むを得ない場合は客が二人までは結構であるけれど、三人乗り込むというと、ときどき互いの糸が絡み合って、能率を妨げるばかりでなく、不快な思いをすることさえある。しかし外洋の大きな釣り船は別段である。
以上述べたよ
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