鯛釣り素人咄
佐藤垢石

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)真鯛《まだい》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)二、三十|尋《ひろ》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)生殖腺が[#「生殖腺が」は底本では「生殖線が」]

 [#…]:返り点
 (例)『従[#二]讃豫[#一]過[#二]鳴門[#一]而東者額上作[#レ]瘤是日[#二]峡鯛[#一]』
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 職業漁師でも遊釣人でも、鯛といえば、真鯛《まだい》を指すのが常識である。真鯛に色、形ともによく似ているのに血《ち》鯛と黄鯛とがある。これは、真鯛に比べると気品も味も劣り、釣りの興趣も真鯛ほどではない。
 真鯛の当歳子、つまり出来鯛の四、五十匁くらいまでのものをベン鯛と呼び、六、七十匁から二百匁くらいの二歳、三歳のをカスゴ鯛と称しているが、三百匁から四、五百匁のものを中鯛、五、六百匁から二貫五百匁くらいのものを大鯛と言っている。鯛は、二貫五百匁より大きいものは甚だまれであると言っていい。寒鯛釣りには、この五、六百匁から、二貫目前後の大物が掛かって、強引に引っ張るのだ。

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