呉清源
佐藤垢石

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)尾《つ》いてきた

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)生駒※[#「皐+羽」、第3水準1−90−35]翔

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ぽつ/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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 呉清源は今や棋聖といつてよからう。
 昭和二十六年四月初旬に於て対本因坊昭宇、橋本宇太郎八段との読売十番碁に、六勝二敗二持碁の成績であるが、吾々素人が見てもこの十番碁は、呉清源の勝に帰するであらうことが予想でき、世間一般の評も呉清源の方が大きな分を持つてゐるといつてゐた。それはそれとして、まだ一つ残された問題が他にある。それは藤沢庫之助九段との対局である。呉と藤沢の両九段がいつ対局の機会を得るか、それは予測できないけれど、この二人は、いづれが嫌であつても対局せねばならぬ運命を持つてゐる。米国とソ連のやうな身の上だ。
 呉と藤沢が、運命をかけた日に、いづれが勝つか。広く棋界
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