議会見物
佐藤垢石
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)管《くだ》を
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)開会|劈頭《へきとう》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)こもつこ[#「こもつこ」に傍点]家
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上
議会中、一日くらいは傍聴席へはいってみるのも国民のつとめであろう。と考えるのだが、物臭ものにはなかなか思った通りにはゆかない。三年に一度か、五年に一度くらいしか、その機会をもたないできた。
でも、昨年の一月の議会返り初日には、二十年前の満鉄事件のとき、顧みて恥なき徒、という名文句を吐いた平沼騏一郎が、総理大臣として施政演説をやるちうことであったから、貴族院の傍聴席を覗いて見た。ところが、平沼がひどく老けているのに驚いたのである。更に悲しく思ったのは、演説が美辞麗句に満ちていて、さっぱり内容のなかったことだ。失礼であるが、そのとき、これでは長持ちはしないという印象を受けたのである。
今年は、二月の五日に、小山議長が不信任決議案をつきつけられるという新聞をみたから、これは面白いと思って行ってみ
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