混ぜてウエスケとすれば八十五杯は取れる。一杯十銭と見て、売りあげが八円五十銭。日本酒よりもこの方が商いがやりやすうございますよ。
 酒問屋の番頭は、商売の秘法を教えてくれた。まことにありがたい。
 直ちに、電気ブランを一升仕入れた。しかし変わらず店に客は少ないのであるから、私は毎日電気ブランばかり呑んでいた。十五日間ばかり続けて呑んだら、顔が丸くぶよぶよにむくんで、青灰色に化けた。[#地付き](昭和二十一年三月中旬記)



底本:「『たぬき汁』以後」つり人ノベルズ、つり人社
   1993(平成5)年8月20日第1刷発行
入力:門田裕志
校正:松永正敏
2006年12月2日作成
青空文庫作成ファイル:
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