程形態によって、性質があるから、装案者はそれを味識して配慮することが必要である。書の品格、仮りに書格といおうなら、その書格を構成する分子としてその綴装様式は重大な役割りをもつものである。例えば背皮を採り乍ら、打抜き綴じなどにするが如きは、やむを得ない場合は致し方なしとして、全く以てちゃちである。又丸背の強いものに対して余り直線的な感じの文様を附するが如きである。
さてそこで現在の日本の出版物をみてみる。色とりどり姿さまざまである。全く雑然たる風俗図である。これ即ち現代日本を反映するものと云えばそれまでであるがも少し何とかおちついた流れを成さないものか、誠に書店店頭に立ってみるならば、この感はそぞろに深いものがある。
底本:「日本の名随筆 別巻87 装丁」作品社
1998(平成10)年5月25日第1刷発行
底本の親本:「恩地孝四郎装幀美術論集 装本の使命」阿部出版
1992(平成4)年2月発行
入力:門田裕志
校正:仙酔ゑびす
2007年1月18日作成
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