意味するかも知れぬ、坐して滅亡の悲運を目前に眺めんよりは、しかず広大なる宇宙に走って、さらに新世界を築かんには!
欧米の学者はともに声を一にして絶叫した、乞うまず彼らの語る所をきけ。
「昔、宇宙には極めて多くの火球があった、太陽もその一つであったが、彼らは同じように非常なる速力で回転しておったのである」
今や新世界建設同盟会の一人は、某天文学者の学説を公衆に紹介すべく、壇上に現われて、かくのごとく演《の》べたのである、ここに於て吾々は、まずこの新世界建設同盟会の現状に就いて記さねばなるまい。
驚くべき警電に接したる彼らは、すでに黄禍だとか白禍だとかいえる、さる偏狭なる人種上の争奪を棄却して、互に恐るべき太陽系を逸脱して、さらに別天地に子孫の繁栄を図ろうとしたのである。
所はこれ東西大陸の中心、完全なる天文台は、敢て経費の支出を俟《ま》たず、地球上に存在せる、あらゆる材料を搬入して、立所に出来て仕舞った、また同盟会議所のごときは、優に一億万人を収容するに足るべき大殿堂であるが、ここには各国から簡派したる、各階級の議員が、充満しておるのである。
これらの議員は、いずれも財産を思う
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