しとは諸地方アイヌの一樣に云ふ所なり。中には一尺計りと云ふ者もあり、八寸計りと云ふ者もあれど、こは日本語にて丈低き者をば一寸法師と呼ぶが如く形容たるに過ぎざるべし。容貌は男女見別け難かりしと云へば男子には髯無かりしならん。石器時代の土偶中には男子を摸せしと思はるる者も有れど髯の形を作り設けしものは未だ見ず。男子に髯無くして容貌女と等しき人民は他に例無きにあらず。アメリカの北端に住むエスキモとアジヤの東北端に住むチクチとの如きは殊に然りとす。コロボックルの顏の形は如何なりしか固より確知する能はずと雖とも土偶の面部の或は圓く或は平たきを以て考ふれば恐らく圓形なりしならんと思はるるなり。
     ●身体裝飾
頭髮[#「頭髮」に白丸傍点] コロボックルは頭髮を如何に斷ちしや如何に束ねしや、余は或るアイヌよりコロボックルの女はアイヌの女と同樣に頭髮を切り下げに爲し居りし由との事を聞きしのみにて他には口碑に就て得る所無し。土偶に據つて考ふれば、男子は頭髮を頂上にて一つに束ね稍冠下の如くにし、女子は或は頭後に渦卷きを作り或は頭上に五つの小髷を載せ或は髮を左右に等分して全体を、への字形に爲せしと思は
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