きなり。以上指し示したる二つの根據は共に過ぎ去りたる事柄なるが、是等の他にも亦現在の事實にして參考に供すべきものあるなり。
未開人民の現状[#「未開人民の現状」に白丸傍点]。未開人民の現状は實にコロボックルの風俗を探るに當つて大に參考とすべきものなり。石器時代の境界に在る人民今尚ほ存すとは既に云ひし所なるが本邦にて發見する石器の使ひ方造り方の如きは是等人民の所業を調査して始めて精く知るを得べきなり。土器の製造法も使用法も、竪穴の住ひ方も、貝塚の出來方も同じく皆現存未開人民の行爲に就て正しく推考することを得。此他の風俗に關する諸事に於ても亦然り。
コロボックル風俗考の主意[#「コロボックル風俗考の主意」に白丸傍点]。コロボックル風俗は第一、アイヌの傳へたる口碑、第二、本邦石器時代の古物遺跡、第三、未開人民の現状の三種の事柄に基いて考定すべきものなるが、之を爲すの主意たるや、啻に本邦古代住民コロボックルの生活の有樣を明にするのみならず、此人民と他の人民との關係、此人民の行衛迄も明にせんとするに在るなり。
コロボックルの体質[#「コロボックルの体質」に白丸傍点]。コロボックルは丈低き人民なり
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