、石錐、石匕、等とす。是等石器の製法用法は現存《げんぞん》未開人民《みかいじんみん》の所爲《しよゐ》に由つても充分に推考《すゐこう》するを得るなり。
打製石斧[#「打製石斧」に白丸傍点] 打製石斧《だせいせきふ》は通例《つうれい》長《なが》さ三寸計りにして、其形状《そのけいぜう》は長方形、橢圓形、分銅形等なり。刄《は》は一端に在る事有り、兩端《れうたん》に在る事有り。或る物は手にて直《ただち》に握《にぎ》りしなるべく、或る物には柄《つか》を括《くく》り付けしならん。使用《しよう》の目的は樹木《じゆもく》を扣《たた》き切《き》り、木材を扣き割り、木質《ぼくしつ》を刳《けづ》り取り、獸《じう》を斃《たふ》し、敵《てき》を傷《きづつ》くる等に在りしと思はる。未開社會《みかいしやくわい》に於ては器具《きぐ》の上にも分業《ぶんげう》起《おこ》らざるを常とす。一個の打製石斧《だせいせきふ》もコロボックルの爲には建築、造船、獸獵、爭鬪に際して、極《きわ》めて肝要《かんえう》なる役目を勤めしなるべし。是等の事はアウストラリヤ、クインスランド土人の現状《げんぜう》に徴して推考《すゐこう》するを得るなり。
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