」に白丸傍点] 土偶の用未だ詳ならざれば、其|模《も》したる物は男子のみの形か女子のみの形か、男女兩樣か明かに云ふ能はず。股引と上着とに各二種|宛《づつ》の別有るは地方の風《ふう》の異《ことな》るを示すものが階級《かいきう》の上下を示すものか是亦|疑《うたが》ひ無き能はざれど、其二種に限られしが如きと、兩樣の土偶一ヶ所より出づる事有るとは余《よ》をして土偶形状の別《べつ》は男女の別を示すものならんとの考へを強《つよ》からしむるなり。乳房《にうはう》の部の膨れ方に大小の差有るは尤も注意すべき事たり。余は有力《ゆうりよく》なる反證《はんしよう》を發見する迄は二樣の土偶は男女の相異を示すものとして記述《きじゆつ》すべし。
穿き物[#「穿き物」に白丸傍点] 土偶中には足の指を示したるものと然らざるものと有り。前者は素足《すあし》の形にして後者は穿き物を着けたる形ならん。但し穿き物の搆造は未だ詳ならず。
衣服の原料[#「衣服の原料」に白丸傍点] 石器時代の土器の中には表面に織《を》り物《もの》を押《お》し付けたる痕《あと》有るものあり。織り物には精粗《せいそ》の別あれど最も精巧《せいこう》なるは
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