いぞイ! 悪い子なんかいねえぞイ!
なよたけ さあ、みんなまた唄をうたって、遊びに行こう! みんなお唄い!
けらお 何でえ。こんな狭《せま》っくるしい竹藪《たけやぶ》ん中で遊んだって、ちっとも面白かねえや! 都へ行きゃ、綺麗《きれい》な御所車《ごしょぐるま》が一杯通ってるんだぞ! 偉い人はみんな車に乗って御殿に行くんだ! 綺麗《きれい》な着物を着て、みんながお辞儀《じぎ》をするんだ! いいぞイ! 綺麗だぞイ!
なよたけ お唄い!
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わらべ達唄をうたい始める。なよたけの後を取巻くようにして、左方へ歩いて行く。けらおは、ひとり、不貞腐《ふてくさ》れて後からついてくる。
(舞台、徐々に移動。あたりは一面竹林になる。遠近《おちこち》に小鳥の声がし始める)
〔わらべ達の唄〕
なよ竹やぶに 春風は
さや さや
やよ春の微風《かぜ》 春の微風
そよ そよ
なよ竹の葉は さあや
さあや さや
なよ竹やぶに 春の陽は
ほか ほか
やよ陽《ひ》の光 陽の光
ほこ ほこ
なよ竹の葉に ほうか
ほうか ほか
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