再び籠を編み始める)………物騒《ぶっそう》でしようがない。
[#ここから2字下げ]
沈黙――
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
なよたけ (声のみ)雨彦!……お前、ちょっと行ってみて来てごらん!
[#ここから2字下げ]
雨彦と呼ばれた少年は「ん」と云って、一目散に裏の方へ駆《か》けて行く。他のわらべ達は一様に彼を見送って、何か心配そうにしている。
雨彦、しばらくして、また一目散に駆け戻って来る。
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
雨彦 誰もいない。りす[#「りす」に傍点]もいない。ちゃんと戸が閉まってる。
造麻呂 ふむ、………儂《わし》の空耳だったのかな?……どうも、年をとってしまったもんじゃ。
[#ここから2字下げ]
造麻呂は再び一心に竹籠を編み始めた。またなよたけの琴がなり始める。……同時にわらべ達は一様に退屈《たいくつ》し始める。
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
こがねまる (つまらなそうに)……なよたけ! また外へ出て遊ばない?
みのり(少女) 出ておいでよ、なよ
前へ 次へ
全202ページ中46ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
加藤 道夫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング