のでせう わたし


さあ早く みんなどこかにかくれろ
やあ わかつた 月|野《の》博士《はかせ》が火星信号器《くわせいしんがうき》でぼく達《たち》へ光ををくつてゐるんだ
なんて まぶしいんでせう


ハハハ みんなまぶしがつて逃《に》げ出したぞ


降参《かうさん》だ
わあ逃げろ 逃げろ
待《ま》つてちやうだい
[#改ページ]

火星《くわせい》の運河《うんが》


ああ重《おも》い もうすこしだ エッチラエッチラ
やあ お父《とう》さんがお帰《かへ》りになつた


テン太郎 けふ お父《とう》さんは気嫌《きげん》が悪《わる》いんぢや
こりや いかん
まあ どうなさいました


どうもかうもない わしは月|野《の》さんにヒゲをつかまれたんぢや
おや まあ
お父さんはいつも議論《ぎろん》をやつてゐるんだなあ


その通り しかし、わしも月野さんのヒゲをつかんでやつた
あなた ではまた火星《くわせい》のことか何かで
うん さうぢや


わしや腹《はら》が立つて かういふ風《ふう》にな うんとひつぱつてやつた
すると 月野もわしのヒゲにぶらさがつて うんとかうして引《ひ》つ
前へ 次へ
全64ページ中10ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
小熊 秀雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング