です
賛成《さんせい》!
賛成!


さあ みんな帰《かへ》らう
お父《とう》さんがいろいろのことを見せてやつた こんどはテン太郎は自分《じぶん》の学校の勉強《べんきやう》を帰つてやりなさい
さやうなら
さよなら


これこれテン太郎 一寸《ちよつと》まて きのふからな お父さんの髯《ひげ》にコオロギが巣《す》をつくつたんぢや
(エ?)
まあ驚《おどろ》いた 髯の中にですか?


さうぢや わしは殺《ころ》すことがきらひぢやから放《ほう》つておいたよ
ホレ鳴《な》いてゐる
やあ ふしぎだ?


あらほんと聞きたいわ
僕にも聞かせて下さい
さわいぢや鳴かないよ そつと寄《よ》つてきたまへ


(コロ コロ コロ)
ああ ほんとだ!
どうして髯の中になんか入つたんだらうな
いい声《こゑ》だなア


(コロ コロ コロ ハクション)
アレッ コオロギが くしやみをした!


ア、わかつた お父さんが口で鳴く真似《まね》をしてゐたんだ
では みなさんさやうなら


お父さんにやられちやつた
くやしいわね
なんだかこのまゝ帰るのは残念《ざんねん》だなあ


僕もさうだ 子|供《
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