(これが想像《さうざう》した火星《くわせい》の表面《へうめん》で一|面《めん》の砂原《すなはら》で植物《しよくぶつ》もある。)
やあ 寂しいところに来てしまつたぞ
まるで砂漠《さばく》のやうね
○
僕《ぼく》の見た火星の夢《ゆめ》は こんなに寂しくはなかつたよ
だつて夢だもの なんでも見られるわ
さうだ 夢より科学《くわがく》の方がほんとうだ
○
ちがわい 夢からいろいろの科学だつて生れたんだい
ぢや テン太郎さん何んと何にが生れたの?
○
たとへば 人|間《げん》が空を飛《と》びたいと考《かんが》へてゐたから とうとう飛行機《ひかうき》といふものを考へ出した
さうだ 想像《さうざう》は発明《はつめい》の母《はは》だ!
○
ちがひますよ テン太郎さんの夢《ゆめ》は目をつぶつて見たんでせう 科学《くわがく》を生みだす夢は目をあけてみる夢だわ
こいつ 生意気《なまいき》な!
目をあけて 夢を見られるかい
○
みられるわ さういふ夢を想像《さうざう》とか空想《くうさう》とかいふんだわ
うそだい 科学者《くわがくしや》なんか空想なんかしないよ
ちがひますよ しますよ
○
ニャンち
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