あつ 窓《まど》の外《そと》はすばらしい街《まち》だ
まあ なんてきれいな所なんでせう
やあ驚《おどろ》いた りつぱだなあ
さあ早く仕度をして下さい
○
僕《ぼく》たちはどうして火星《くわせい》へやつて来たらう
わたしも わからないわ
僕もだ
さあ そんなことはどうでもいいのです 窓《まど》から早く
○
やあ高いなあ こんな所から飛《と》び降《お》りられないよ
わたし とても駄《だ》目よ こわいわ
○
僕たちを信《しん》用して下さい ほらかうして飛び降りるんです
○
あなた達《たち》は地|球《きう》からの大|切《せつ》なお客様《きやくさま》です 悪《わる》いことにはなりません
ぢや わたし体《からだ》が軽《かる》いから先に飛び降てみるわ
それでは僕だつて
僕も降りることにしやう
○
やあ 愉快《ゆくわい》愉快
体《からだ》がふわふわと飛んでるぞ 不思議《ふしぎ》だなあ
どうです 地球とはまるでちがふでせう
あらまあ 蝶《てふ》々のやうに飛べるわ
ほほ これは面《おも》白い 面白い
○
ごらんなさい あそこを いま火星人《くわせいじん》は洪水《こうづゐ》を避難《ひなん》してゐます
やあ 雲《くも》のやうに たくさん火星人がとんでゐる
あらまあ 鳥《とり》のやうに建物《たてもの》の屋根《やね》の上にとまつてゐるわ
○
さあ 僕《ぼく》たちがあなた達《たち》を安全《あんぜん》な所へ案内《あんない》しませう
洪水《こうづゐ》はいつまでもつづきますか
火星《くわせい》の洪水はきまつてあるのです
あれ あれ 水があんなにあふれて来たわ
運河《うんが》の岸《きし》が いまにもかくれさうに水がびたびたになつちまつてゐるぞ
○
うわあ! すごい建物《たてもの》だなあ
なんて高い建物でせう
これは地|球《きう》ホテルといふ 火星一の高いビルデングです
○
このホテルは 地球からのお客様《きやくさま》を迎《むか》へるために、わざわざつくつたのです
すると僕達が 最初《さいしよ》のお客なんですね
地球からの第《だい》一|着《ちやく》だすごいぞ
面《おも》白いわね
○
さあ こゝが貴方《あなた》たちの部屋《へや》です
まあ! きれいなベット
きれいな敷物《しきもの》
どこもこゝも縞模様《しまもやう》
○
とんだり はねたり おもしろい
さあ 下の露台《ろだい》にでてみま
前へ
次へ
全32ページ中11ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
小熊 秀雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング