監察所の斡旋で、当局と文筆業者との懇談会が催され、執筆禁止組の文学者も参会したが、この種の会を開くことは大いに意義あることだ、作家、評論家、ジャナリズム編輯者が、必要以上に萎縮してゐる現状を当局に確認して貰ふことは、この種の会で大いに為されていい、作品の検閲がその作品の内容に依るのであつて、決して誰々の作品だからいけないといふ筆名本位でなされるといふことは勿論無い筈である。
 ▼然し前述のやうに、当局者の『思はせぶりな頭のふり方』が案外、作家、ジャナリズムに大きく作用し、当局にとつても所謂『薬が利きすぎた――』状態を呈し、当局と文筆業者との懇談会などといふ、世話の焼ける催しも開かなければならなくなつたのであらう。
 ▼必要以上に薬を利かすとか、必要以上にジャナリズム編輯者を萎縮させるといふことは、これは単に作家個人の死活問題にとどまらない、文化面の萎縮として、正常な状態でないから、吾人は文化面の明朗化を望む意味からも、当局者にその間の事情に対する適応に敏感であることを望みたい。


批評の長期戦
 良書支持のために

 ▼普通に言はれてゐる『月評』といふ意味は、現在ではその月の刊行物に
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