網は別なところである、二流、三流どころの本屋、古本屋、玩具店、最も大量消化するのは、夜店商人であつた、本屋もない地方によつては、雑貨店の一隅に、チリ紙の束の隣りに、或は黒砂糖の桶の隣りにならんで売られてゐるといふ具合に、全く庶民的立場にある安価本として扱はれてきた、当局の検閲の眼の下をくぐつて出版されてゐたかどうか、粗悪時代の当時の状態は保証の限りではない、検閲の眼にふれることが少なかつた理由がもう一つある、赤本類は、出版物としてよりも、玩具形式として扱はれてゐたことである、木製の赤い自動車や、ブリキ製の青い船にまじつて、この漫画本は、何かしら赤青を塗りたくつた本、といつた程度の、玩具としての認識より外には、出版業者がもたなかつた、取締強化に際して、赤本出版業者は、児童の出版物といふものは、いかに喧しく取締られるものであるかといふことを、始めて経験し、なかには唖然として策の施しやうを知らなかつたのも出版業者にとつては無理があるまい。
 浄化座談会で、教育家の一人の意見では、粗悪本の影響を避けるためには、子供自身に本を選ま[#「ま」に「ママ」の注記]せるからいけないので親が選択して買つて
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