もし私の見解が正当であり、私が妄想患者でなかつた場合には、問題は社会正義の問題として保留されるでせう、
一つの事実が、正しいか、不正であるかといふことに就いてその事実の性質が、個人性を帯びたものと、社会性を帯びたものと二種類あるでせう、後者の社会性を帯びたものは、あらゆる場合に於いて、正邪を明瞭にしてをくといふ、人間的義務を生ずるでせう、私はこの公開状発表によつて、まづ人間的義務を果さうとしてゐるのです、つまり『問題の提出』といふ最小限度の義務を果してゐるのです。貴方が私のこの公開状を読んでも、何等人間的な義務を感じにならない場合には、この公開状を黙殺なさることもまた貴方の自由です。
さて私がこの公開状を書くようになつた事情を語りませう、橋本明治氏よ――貴方は小熊といふ人物を御存知の筈です、それはたつた一度ですが、私は貴方のお宅をお訪ねして、貴方と色々とお話ししましたから、私は貴方の人柄風格も知り、また作品も系統的に調べてもみました、そして貴方の作品の支持者でもあるのです、また将来もさうでせう、さういふ意味からも、こゝでこの公開状を書かないでは気が済まないといふショックも、今回うけ
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