この程度の考へ方や技術をもたなければ問題にはならない、シュルリアリストは少くとも新しい傾向であるといふ意味で聡明でなければならない、その意味で浅田氏は聡明である、この程度の絵になると、私はこの絵だけで二十枚も三十枚も批評をしたくなる、私はこゝで少し理屈を言はして貰へば、浅田氏は印象といふものをどういふ風に理解してゐるかといふことを聞いてみたい、印象とは何か――印象とは人間の諸々の諸感覚のうちの一つの抽象であるといふことははつきりしてゐる、それではかうした抽象的なものに『同時的』とか『同一的』とかいふ命題を与へるといふことは正当であるかどうか、印象そのものの、同時性とは、同時に最も非同時的なものも内容として抱含されてゐなければならないといふこと、他のあらゆるものの差別性を肯定して始めて完全な姿になるといふこと、印象といふ抽象的感覚を二つ複合して辛うじて単一なものを表現するといふ考へ方が隠れてゐたら非常に消極的な画題や意図であると思うへるだらう、浅田氏の描法の一応の正しさは、細密描写の部分も、重要な手法として肯定してゐるといふ点であり、画面の種々の相関関係を見のがすまいとする態度は見受けら
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