へる手段も心得てゐれば、線の変化連絡によつて、第三者の視覚を自由に操縦するテクニックももつてゐて、本人は理屈といふものを非常に嫌悪してゐるらしいが、福田平八郎氏ほど理屈つぽい絵を描く作家は他に見受けられないといつてもいゝであらう。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
川村曼舟論


 川村曼舟氏を論ずる場合には、氏の最近の仕事だけを観て、かれこれ言ふことは不可能である、殊に一般的には川村曼舟氏の最近の仕事を『硬化状態にあるもの』と観察してゐる向が多いやうである、愉快なことには、この『硬化状態』を本人自身それをちやんと知つてゐることである、時世の動きの中にをかれたこの老大家は、自分の作風がどの程度に硬ばつてゐるかといふことをちやんと知つてゐる、これは筆者が直接本人川村氏の口から聞いたことであるから間違ひはない、同時に氏の口からもう一つの最も示唆に富んだ言葉を聞くことができた、川村曼舟の心内の状態をそこで筆者は知ることができたのである。
 これに就いては後の方で氏が自分の仕事に就いてどういふことを考へまた、将来の方向に就いて何を目標としてゐるかといふことを漸次語つて行かう
前へ 次へ
全419ページ中196ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
小熊 秀雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング