新さを失はぬ理由は実は、さうした、或る一部に統一を破つて複雑なもの――を、画面に感ずるからである、福田氏の作品は殆んど無構図主義だと思はせるほどに画面のはまり所を考へないやうな大まかな構図のとり方をしてゐる作品が多い、しかし出来上つた絵はぴつたりと画面にはまつてゐて、何ら構図上の欠点といふものが現はれてゐない、それはどういふ訳か、それは観賞者の視覚的焦点を、構図にもつてゆかさず色彩に分割してしまふからである、そして構図は最も効果的には、線の連絡の変化をつける事によつて、画面上を動的なものとしてゐる、福田氏の線と線との連繋は、実は非常な細心な態度で、その連繋を意義づけてゐる、『漣』に於いて観賞者の観[#「観」に「ママ」の注記]覚をさんざんもち運ばされるやうに、福田氏の作品に含まれた作者の計画性は、生理的効果にまで高めようとする野望が潜まれてゐるのである、数箇の果実をならべたものにせよ、数匹の鯉を配列したものにせよ、その配列には『或る一部に統一を破つた複雑なもの――』を方法として、かならず加へてゐるといふことは少しく注意すればすぐ理解できると思ふ、つまり福田平八郎氏は『線の発展の画家』なの
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