する神の神格を故意に汚しとると思ふのだ実に怪しからん、全宗教界の問題として宗派院に訴訟する』
 と神官はかんかんに怒つた、この係争は続いた、問題はそして今回の東邦宗徒連鎖聯盟会議にも持ち出されたが当日の決議としては
 人間的立場からみて、人間を対照としての貼紙『犬の他小便すべからず―』はすこぶる人間自身に対して穏当でない、鳥居を描くこと勿論よろしくない、この二種の貼紙は両家に於ても撤回すること、尚最近これを真似て一般がこの種の貼紙を貼つてゐるのを多く見かけるから、これは宗教婦人会で会が総出で都市の隅々をかけまはつて剥とるため奉仕週間を作ること。
 もう一つの問題は通行人の膀胱の緊張を調節し緩和するためには、この都市にはあまり共同便所が少ない、この共同便所の少ないことは人間の居宅に近く放尿するといふ結果になるから至急政府に向つて共同便所増設の請願猛運動を起すことに決議された。
『それと同時に諸君、犬の共同便所も敷設することを政府に請願すべきと思ふのであります――』
『議長それは反対であります、国家にはそれほどの経費はないと思ふのであります』
『議長へ申し上げます、我輩はこの問題は犬がなぜ
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