の「。」を削除]寝藁《ねわら》を蹴飛ばし、水桶をひつくり返して、小屋中水だらけにして広い除虫菊畑にとびだしました。
 その日は、お天気がよかつたので、豚は小屋の中に、居るのが嫌だつたのでせう。
 豚は男の大事に手入れをしてゐた、除虫菊畑を歩るきまはつて、花をすつかり踏みにじつたので、男は腹をたてました。
『なんといふ不心得者だらう、勘弁はならない。支那人の料理人《コック》の言つたやうにして、懲《こ》らしてやらなければ。』
 豚飼の男のお友達に、支那人の料理人《コック》がをりました。そしてこの料理人《コック》の話では、豚のお尻の肉を、庖丁で削りとつて、その切りとつた痕に、土を塗つてをけば、翌日ちやんと、もとどほり肉があがつてゐるといふことでした。
 そこで男は、豚を木柵《もくさく》にしつかりとしばりつけてをいて、肉切庖丁を、一生懸命に磨ぎ始めました。
 あまり腹を立てたので、手元がふるへて、庖丁を磨いでゐる最中、小指をちよつとばかり切りました。
『豚奴が、刃物とまで共謀《ぐる》になつて、わしを苦しめようとしてゐるのだらう』
 と、そこでますます腹をたてました。
 やがて庖丁がギラ/\と研
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