やら、たくさんの金物類をならべた、夜店の前に立ち止まりました。そして
『トロちやんには、これを買つてあげませう。』
 といつて、赤く塗つた、小さな爪切鋏を手にとりあげました。
『いやだあ、そんなもの、嫌よう。』
 トロちやんは頭をふりました。
 金物店の主人は、
『お嬢さん、さあさあ、これをお持ちなさい、その鋏はよく切れますよ、子供が爪を長くのばしてをくのは、よくありませんよ。』
 と言ひました。お母さんも、
『そうでせう、この子は爪を切りたがりませんから。』
 すると、夜店の金物屋さんは、眼を真丸《まんまる》くして、
『それは大変だ、悪魔は爪から出入りするもんですよ。』
 と言ひました。トロちやんは、これを聞いて吃驚《びつくり》しました。今まで爪から悪魔が出入りするなどゝは考へなかつたからです。
 そこでトロちやんは、その爪切鋏をお母さんに買つていたゞきました。
 夜店を歩るき廻つて、みんなはお家《うち》に帰りました。顔や手足は埃だらけになつてゐましたので、何時《いつ》ものやうにお母さんは台所に大きな盥を持ち出して、子供達の手足を洗つてくださいました。
 トロちやんは、何時もの通り、
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