なりました。
『ことによつたら、あんな約束をしたのは嘘で、地の底に、にげてしまつたのではないだらうかしら』
女の子は、かううたがひながらも、それでもいつまでも根気よく、悪魔のでてくるのをまつてゐました。
『ああ、いやだ、いやだ、百姓がいやになつた』
かう思ひました、すると女の子の重い頭は、コロリと転げ出して、スポリと地の中にもぐり込んでしまつたのです。
その夜は、とうとう女の子が、畑から家にかへりませんでした、母親はしんぱいして、あくる朝早くに、さがしにでかけました、すると、畑のまんなかに、女の子の鍬がなげだされてあるきりで、女の子のすがたは見えません。
『あの子は、どこへ行つたのだらうね、地面の中へでもかくれたのかしら』
かう言つて母親は、鍬でそのへんの土をほりかへしてみると、土のなかからたくさんのタマネギが、ごろごろところげでました。
母親は、そのタマネギを大きな籠に、うんとこさと入れて小脇にかかへてかへりました。
『まあ、まあ、娘もたいへんしあはせになつて、こんなに沢山衣装を着こんでゐるよ』
かういつて母親は、タマネギの皮を、一枚一枚むき始めましたが、成程むいても、む
前へ
次へ
全137ページ中128ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
小熊 秀雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング