―彼らの強い呼吸に
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陽気さの口笛を吹かせると。
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小熊(5)[#「(5)」は縦中横]けふ嵐の中で
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我々の種子はとび交つた、
炸烈する胚子は――、
地上への自由の蒔き手を
自任しよう、
二つの民族は
コルホーズ(共同農場)に
でかけてゆく
しかも我々の住んでゐるところの
コルホーズは
暁ではない、夜だ、
まつくらなんだ、
まるで手探りで種蒔いてゐる、
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雷(6)[#「(6)」は縦中横] 飛砂走石たる野原に
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我々はトラクターを進ませて
時代の最後の嵐を追ひ消さう
野獣の血肉と骸骨を、
肥料として土の中へ打ち込む
暁になると我々の
蒔いた胚子が
まるで一瞬間の間に
むら/\と空へ伸び上がる
そしていづれの端末にも
輝く花の弁が
勝利の微笑をして
招いてるだらう
その時、地球のどこにも
平和な空気が
あざやかに漂ふ
[#ここで字下げ終わり]
小熊(7)[#「(7)」は縦中横]それを夢みる
[#ここから3字下げ]
君の夢を私がみる、
私の夢を君がみたまへ、
現実の毒素的な
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